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推薦図書

私が読んだ本の中から推薦できる図書を紹介しています

医療


  • 深井良祐 2014 なぜ,あなたの薬は効かないのか?−薬剤師しか知らない薬の真実 光文社新書 760円+税
     薬は,その量が少なすぎると効かないし,多すぎると毒になる,効き方には個人差がある,副作用が生じることもある,これらは言われてみれば当たり前のことなのかもしれませんが,なぜそうなのるのかよくわかっていませんでした.本書を読むと整理してもらった気になりました.薬の話になると化学記号が出てきたりするのですが,本書は生物や化学の知識がなくても理解できます.
     そして,薬のデメリットばかりに目を向け避けてしまうこともいけないですし,あまりにも頼ってはいけないこともよくわかります.なんでもそうなのでしょうが,絶対ということは決してないわけです.ジェネリック薬の話も含め,薬と上手に付き合っていくには読んでおきたい一冊です.

  • 夏井睦 2009 傷はぜったい消毒するな−生態系としての皮膚の科学− 光文社新書 840円+税
     内容は非常に説得力があります.著者の治療実績だけではなく,皮膚の構造の話から傷が治る過程まで丁寧に説明され,その理論的根拠もしっかりしています.本書を読むと,著者の主張通り,消毒するのはかえって傷を悪化させてしまうことにつながってしまうのだと納得させられます.
     著者は,これまでのトンデモ治療も消毒による治療も,それらが正しいと思い込まれていたのは,皆が正しいと思い込んできたからだと述べています.その通りだと思います.とすると,本書を読んで私が納得したのも,正しいと思い込んだだけかもしれません.その真実は本当のところはわからないのでしょう.その点も考えながら読んでみるべきでしょう.
     なお,本書で褥瘡の診断ツールの数値化に対する批判が書かれているのですが,この批判はちょっと違うと思います.重回帰分析等を使えば,このような数値化は十分に妥当性があるはずです.これは,著者の正しくないという思い込みのような気がします.
     とはいえ,最後に書かれている進化の観点から皮膚を見る話も面白く,読んでみることをお薦めします.

  • 大川弥生 2013 「動かない」と人は病む−生活不活発病とは何か 講談社現代新書 798円
     「生活不活発病」という言葉をはじめて知りました.病気が治っても安静にしたほうがよい,歳をとると体力がなくなるから動かないほうがよいと思ってしまいがちです.でも,それがかえって病をもたらしてしまうということなのです.家事や買い物などの日常的な活動が一切なくなってしまえば,体が衰えていくのは,言われてみれば,当たり前のことでしょう.
     90近くになる父は,一人暮らしをして,自分で買物,料理,洗濯なんでもします.独居老人という言い方はネガティブな印象ですが,一人で自立した生活を送ることは健康なことなのでしょう.
     文章も読みやすく,親の介護や自分の老後を考えていくうえでとても参考になる本です.

  • 佐藤健太郎 2010 医薬品クライシス 新潮新書 735円
     新薬を創ることがいかに大変であるのか,そして新薬ができるかどうかが製薬会社の命運を決めるというビジネスとしての厳しさを理解することができます.また,薬とはどのようなメカニズムで病を治すのかも噛み砕いて説明がなされており,副作用の問題など,素人にもわかりやすく説明されています.
     印象深かったのは,リスクゼロを求めすぎ,安全基準が厳しくなる中で新薬が誕生しなくなったことの問題です.薬は必ずリスクがあり,個人によって効き方も異なり,場合によっては不幸にも亡くなってしまう方もおられるでしょう.そのようなリスクが少しでもあると,薬として日の目を見なくなるというのです.でも,その薬によって救われる方がそれ以上にたくさんいたはずです.薬というのは常にリスクを伴うものだということを患者が理解しておかないと,医療は成り立たなくなってしまう恐れがあります.
     もっとも印象に残っているのは,「おわりに」に書かれていることでした.人の細胞はがん化した細胞が自滅することによって,個体を守ろうとします.社会も老いを迎えた人が亡くなり,若い人に世代交代していくことで,社会が常に安定した状態が保たれるはずです.しかし,医療や医薬の発展によって人の寿命が延び,高齢化社会になり,年金の破たんや介護の問題が生じ,老いた世代を支えるのに若い世代が疲弊してしまいそうです.長生きしてほしいと願うのは誰しも思うことなのでしょうが,社会全体として見たときに,老いた世代が若い世代の負担になってしまうと,社会全体が疲弊してしまいかねません.本書で紹介されていた抗がん剤の研究者の漏らした一言「ガンなんて治しちゃってほんとにいいんだろうか」は考えさせられる問題です.
     科学ジャーナリスト賞という賞を受賞しており,お薦めの本です.

  • 本田宏(編著) 2008 医療崩壊はこうすれば防げる! 洋泉社新書 760円
     特定健診・特定保健指導,後期高齢者医療制度,療養病床削減策など,厚生労働省の新しい施策は,医療費を削減したいことしか考えていない制度です.患者の視点,現場の視点がまったく抜け落ちた官僚のお金の出入りだけの机上の論理です.小泉政権時代の聖域なき構造改革とは,どこに改革が必要でどこは改革の必要がないのかを何も考えない思考停止の無策でした.郵政民営化の陰に隠れて,医療の問題はあまり取り沙汰されませんでした.しかし,そのツケは,医療崩壊を着実に進行させてしまっています.
     本書は,現場サイドからどうすれば医療崩壊を防ぐことができるのか,現場の医師が自ら,提言や実際の取り組みについて語ってくれています.霞ヶ関の論理ではなく,現場の声に説得力があります.

  • 河野龍太郎 2004 医療におけるヒューマンエラー〜なぜ間違える どう防ぐ〜 医学書院 2,940円
     医療に携わる方にぜひ読んでいただきたい本です。筆者は,航空管制官としての経験から,ミスを無くすには心理学が必要だと感じ,心理学を学び,現在は,東京電力でヒューマンエラーの研究に従事されています。ヒューマンエラーを無くすには精神論ではダメですし,小手先の対策でも対策のアリバイにはなっても根本的な対策にはなりません。ヒューマンエラーが心理学的に考えるとどうとらえるべきなのか,そして,事故やインシデントの分析のやり方,改善のやり方が具体的事例で非常にわかりやすく書いてあります。お薦めの一冊です。

  • 土屋繁裕 2002 ドクターハラスメント−許せない!患者を傷つける医師のひと言− 扶桑社 1,333円
     耳鼻科に子どもを通院させていた知人の話です。大人でさえ,耳を触られるのはいやですから,いつも子どもが泣くそうです。すると,医師や看護師から,母親の躾がなっていないとひどく叱られたそうです。子どもは敏感です。こんな医師や看護師のところに行きたくなくて泣いているのです。でも,治療してもらわなければならないため,その医師と看護師のひどい仕打ちに耐えるしかないのです。
     ただ,病気を治療すればいいと思っている医療従事者がいるのです。患者を「人」として見ているのではなく,「病気」しか見ていません。ある意味では,「モノ」扱いなのです。病気や治療について知りたがる人,泣く子などは,病気の治療に邪魔なことですから,嫌うのです。もちろん,医師の治療方針に反対する人はもってのほかでしょう。
     筆者は,この本で,医師にとって重要なことは「Talk」であると述べています。患者とどのように接するべきなのかは,医師の本来の仕事であるはずです。それができないのは,医療者として失格であるはずです。そんな医師とは患者側から拒否するしかないのでしょう。本書では,筆者が接してきたガン患者のいろいろな事例を交えながら,患者側が医師とどうつきあっていけばよいのかを指南してくれます。

  • 佐伯晴子 2003 あなたの患者になりたい−患者の視点で語る医療コミュニケーション− 医学書院 1,200円
     医師のコミュニケーションスキルを高めるために,模擬患者実習というのが行われています。著者は,その模擬患者の活動をなさっている方です。模擬患者を務めた経験が語られています。このような活動が注目されているのも,今の医師のコミュニケーションのスキルがあまりにも低いからなのでしょう。
     私も,患者の立場を考えない病院や医師に何度も出会ったことがあります。そのような病院には二度と行かないのですが,どうしても行かなければならない患者さんもいるでしょう。ドクターハラスメントのような話を耳にすることは決して少なくありません。一方で,私が今お世話になっている内科医,歯科医,鍼灸師の方は,本当に患者の立場を考えて話をしていただける方です。このような立派な医療者が増えていくことに,模擬患者の活動がつながることを願っています。

  • 毎日新聞医療問題取材班 2003 医療事故がとまらない 集英社新書 660円
     医療事故が無くならない最大の問題は,医療をとりまく組織や制度の問題です。医療事故を起こすのは,医師や看護師個人ですが,それを引き起こす根本的な原因は,医療を取り巻く組織や制度です。大学病院の医局制度,医師の資格の問題,医師会などの団体の役割,行政の対応など,どれをとっても,患者本位ではなく,医療従事者の利害しか考えていないところに問題があるのです。
     しかも残念なことに,医療事故が再発防止の教訓として活かされていないのです。ミス隠しや事故リピーターの放置など,患者さんの死が無になってしまっているのです。
     被害にあった患者の遺族の方々の勇気と血のにじむような努力のおかげで,少しずつ改善されてきているようですが,まだまだ,はじまったばかりです。

  • 山内桂子・山内隆久 2000 医療事故−なぜ起るのか,どうすれば防げるのか− 朝日新聞社 1,300円
     「医療事故はあってはならない」ことですが,私たちが,医療事故に対して持たなければならない認識は「医療事故は必ず起る」ということです。
     今の医療のしくみの中には事故を誘発する要因が内在しています。しかも,それは,医師や看護婦の医療従事者の怠慢や不注意といった要因ではなく,組織としての安全への取り組みが不十分であるからです。ところが,事故が起ったときに,担当の医師や看護婦,その上司をスケープゴートにしてしまって,組織としての安全の対策がなされないままになってしまっています。今のしくみの中にあっては,どんなに優秀な医師や看護婦であっても,事故を引き起こす可能性はあります。事故に遭遇していないのは,運がよかったからにすぎません。「事故は必ず起る」という前提のもとで,それを未然に防ぐ二重三重のチェック機構を医療の中に取り入れていく取り組みが必要です。
     ただし,しくみを改善したら,100%事故がなくなるかというと,そうではありません。もうひとつ大事なことは,事故が起ったときに,どうするかということです。患者さんに対する十分な補償やサポートが必要ですし,今後の事故防止対策のために,その事故を教訓にできるようなしくみを作っておくことが大事です。医療事故を「あってはならない」ことだと考えてしまうと,事故発生そのものを隠してしまったりして,教訓に活かすことができなくなります。「必ず起る」ものだと考え,その事故の全容を明らかにし,分析をすることによって,その後の事故対策に活かすことができるようになります。
     本書は,このような取り組みへの糸口を与えてくれます。医療事故の問題は,実は「医療技術」の問題ではなく,ヒューマンエラーを誘発させないために,社会的しくみをつくる「心理学」の問題なのです。本書は,心理学者がその提案をしていることに意義があります。
     ただ,心理学の専門の大学教授が書いてしまうと,専門的すぎてわかりにくくなるのですが,本書は,そうではありません。心理学専門の教授のご夫人が中心となって書かれていますので,わかりやすく書かれています。文体も,「ですます」体です。そして,もちろん,心理学の専門的知識も十分に裏打ちがされています。
     ぜひ読んでみることをおすすめします。

  • 米山公啓 2000 「健康」という病 集英社新書 660円
     健康は,医者の判断によるもの,健康診断や人間ドックで出された数値で絶対的に判断されるものではないということです。私たちは,数値で表されるもの,医者の診断といった他者からの健康指標に頼りがちです。すべてが正常となって健康でなくてはならないような呪縛に捕われてしまっています。
     体にいいとかやせるとか,人から言われると何でもとびついてしまう。一方,ちょっとでも有害だと言われると,金科玉条のごとく絶対にダメだと否定してしまう。リスクゼロということが世の中にないように,絶対的健康というのはありえないのです。絶対的健康を追い求めていくことがいかに不健康で,そのこと自体が「病」であることに気づかないといけないのです。持病を持っていても,それと向き合って自分なりの生き方をできることのほうがいかに健康であるのか,考えさせる本でした。若い人にはピンとこないかもしれませんが,読んでみる価値のある本だと思います。
     ちなみに,同じ著者の「大学病院の不健康な医者たち」(新潮OH!文庫)も面白かったです。
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