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推薦図書

私が読んだ本の中から推薦できる図書を紹介しています

教育


  • 久保田竜子 2018 英語教育幻想 ちくま新書 886円
     英語教育において,早期教育,ネイティブによる教育,英語だけを使った授業,四技能の測定など,表面的には必要なように聞こえてくるものの,それらを主張する人の経験から主観的に語られているところもあります.本当にどのような英語教育が適切なのかを客観的な研究に基づいたエビデンスで考える必要があるはずです.本書の著者は,応用言語学の知見から英語教育の幻想を検証しています.
     ネイティブよりもノンネイティブの教師のほうが,英語学習者がどのようなところにつまづきやすいかわかるので学習者にとってはありがたいはずです.また,オールイングリッシュで授業をするよりも,学習者の母語で補足をすることのほうが理解は促進されます.こういったことは少し考えればわかることなのですが,ネイティブによる英語だけを使った授業をすることが優れているかのような幻想に囚われてしまっています.今後効果的な英語教育を行っていく上ではイメージ先行ではなく,エビデンスベースで検討する必要があるでしょう.興味深い一冊です.

  • 中村高康 2018 暴走する能力主義 ちくま新書 886円
     大学入試や就職試験など、個人の能力を評価し、選抜しなければならない場面があります。その際、これまでの選抜のやり方が知識などに偏重しているため、新しく「〇〇能力」を見るべきだと議論されることがあります。しかし、そこで、話題になるのは、「コミュニケーション力」とか、「前に踏み出す力」とか、抽象的な能力です。残念ながら、そのような能力は簡単に測定できるものではありませんし、決して目新しいものでもありません。能力によって評価されるべきだという捉え方(メリトクラシー?)は、時が経てば、その能力の見直し(再帰)がなされます。筆者は次のように述べています。
     “「新しい能力」論現象の本質は、新しい選抜原理の胎動なのではない。そのような名案など誰も思いついていないにもかかわらず、既存のメリトクラシーを批判し、どこかで聞いたことがあるような陳腐な能力論をあたかも立派な対案であるかのようにして振りまわさざるをえなくなっている我々現代人の苦悩≒メリトクラシーの再帰性の高まり、なのである。”
     問題なのは、このような陳腐な能力論に振り回されてしまう現場です。短時間では測定しようのない能力を測定することが求められます。無い知恵を絞って捻りだされる方法論も結果的に陳腐なものにならざるを得ません。
     本書は、「新しい能力論」の台頭について鋭く分析をしています。お薦めの一冊です。

  • 大内裕和 2017 奨学金が日本を滅ぼす 朝日新書 842円
     経済的な困難さで大学進学が困難になっていることは理解しているつもりでした。しかし,その具体的な実態や問題の本質がどこにあるのかは私自身十分に理解していませんでした。本書を読むとそれがよくわかります。貸与型の奨学金は,言われてみれば当たり前なのですが,単なるローンに過ぎないわけです。ただ,普通のローンと奨学金の場合では,構造的に大きく異なっています。普通の借金は借りる人と返す人が同じで,個人でそのことを理解し,将来の返済を見通して借金ができます。しかし,奨学金の場合,未成年の段階で借りるため,親が主体的になることが多く,学生には当事者意識が低くなってしまいます。しかし,返すのは学生で,卒業後の自分の収入がどのようになるのかわからない段階で借金を負うことになります。そのことが問題を見えにくくしていることと,問題として声を上げにくくもしているようです。
     現在,教育にはお金がかかりすぎています。そのため,教育を受ける機会が,本人の努力ではなく,親の収入によって決まってしまっています。将来の社会の人材を育成していく点から考えると大きな問題です。高等教育の無償化は実現してほしいことではありますが,制度設計をうまくやらないと,教育機会均等が実現できず,時の政府のポイント稼ぎだけになってしまいかねません。
     非常に考えさせられることの多い本でした。ぜひ読んでみてください。

  • 鈴木翔  2012 教室内(スクール)カースト 光文社新書 882円
     “カースト”という言葉のひびきに恐ろしさを感じてしまいます.私自身の中高生のときの経験として,クラスの中でこういったことは経験していませんし,記憶もありません(意識していなかっただけで,さらにそれを抑圧して記憶に残っていないだけかもしれませんが).そのため,どうコメントしていいのか正直なところわかりません.
     ただ,本書での分析は丁寧で,インタビューの発話内容を細かく精査して,内容のどこに著者が注目したのかがよくわかります.また,社会学にありがちな難解な文体にならぬよう注意を払われて,わかりやすく書こうという姿勢がよく伝わってきます.各章ごとにまとめが書かれてあるのも,理解を助けます.このような事象を取り扱うのは,方法論的に難しいと思われますが,難しい言説で煙に巻くのではなく,このような丁寧な分析は説得力があります.
     非常に興味深い内容で,一読の価値はあります.

  • 杉山幸丸 2004 崖っぷち弱小大学物語 中公新書ラクレ 756円
     大学に優劣をつけるのはよくないかもしれませんが,無名の大学などでは学生の能力が相対的に低い大学があるのも事実です.国立大学の偉い先生が定年後,こういった大学で仕事をされるのもよく聞く話です.ところが,国立大学の優秀な学生を相手にしていた調子で授業をするものですから,学生からは評判が悪く他の先生や事務職員からも疎まれたりする話もよく聞きます.
     しかし,杉山先生は,そういった大学での教育に対して,さまざまな工夫・努力をされておられ,その実践には頭が下がる思いです.教育内容は様々で,そのスタイルも異なりますから,杉山先生がなされたやり方がすべてに通用するわけではないでしょうが,見習うところは十分にあります.多くの教員はもちろん努力をしています.学生の皆さんもそれを感じとってほしいと思いますし,私たち教育に携わるものとしても,学生に合った教育をすることの大切さを再認識しなければならないでしょう.

  • 玄田有史・曲沼美恵 2004 ニート 幻冬舎 1,500円
     ニート(NEET;Not in Education, Employment, or Training)とは,働こうともしないし,働くための教育や訓練も受けていない人たちです。そのニートと呼ばれる人たちの数が増えているということです。雇用不況,学校,家族,本人のどこに問題があるのか見えないところが,深刻な状況なのでしょう。働かない人が増えていく社会は,いずれ立ち行かなくなることが見えています。筆者らは,若い時期に働くことを経験させることに何かきっかけあるのではないかと考えているようです。それでうまくいくのかどうかはわかりませんが,社会問題として取り組まなければいけない大きな課題でしょう。

  • 市川力 2004 英語を子どもに教えるな 中公新書クラレ 760円
     最近,小学校での英語教育導入が議論されています。外国語はできる限り早い時期に学ぶのがいいのだという神話に踊らされているような気がします。言語は,伝達したいことを伝えるコミュニケーションのツールにすぎません。ツールとして言語が生かされるには,自分の考えをしっかり持ち,それを自分の言葉で伝えたいという気持ちを育てることが大切です。
     英語教育推進では,「コミュニケーション」とか「国際性」が謳い文句になっていますが,伝達内容を十分に磨かないと,コミュニケーションは貧弱になり,国際性も育つはずがありません。たどたどしい英語であっても,伝達したい内容がすぐれたものであれば,「国際人」として尊敬されるでしょう。しかし,どんなに流暢な英語でしゃべっていても,その内容が貧弱であれば,国際性があるとはとても言えません。
     本書は,長年,海外赴任子女の教育に携わってきた筆者の警鐘だと考えてもいいでしょう。海外での生活を体験すると,外国語が堪能になり,国際性が身につくと考えてしまうのは虚妄にすぎないのです。
     英語を学ぶ前にすべきことがあるはずです。それは,小学校だけの問題ではありません。大学も同様です。外国語教育に力を入れるというのは聞こえはいいですが,薄っぺらな教育になってしまっているのです。

  • 永井洋一 2004 スポーツは「良い子」を育てるか NHK出版生活人新書 680円
     スポーツは健全だというのは幻想でしょう。今や,スポーツはビジネスになってしまっています。子どもが行うスポーツさえも,「勝つ」ことが至上命題となってしまい,一流選手を目指すことを最終目標とした構図ができあがってしまっています。そのため,「勝つ」ために,親は子どものために奉仕することが求められ,「勝つ」ために障害になる能力の無い子どもたちは切り捨てられてしまいます。スポーツの持つ本来の愉しみを享受できる環境が失われてしまいつつあります。
     いわゆる偏差値教育が「学ぶ」ことの楽しみを奪ってしまったように,優勝劣敗のスポーツ教育が「スポーツする」楽しみを奪いつつあります。本書は,その警鐘でしょう。心理学的な視点が随所にあって,興味深い内容の本でした。

  • 鈴木孝夫 2001 英語はいらない!? PHP新書 660円
     日本で外国人に出会うと,日本人はなぜ英語で話さなければならないと思ってしまうのでしょう。日本では堂々と日本語で話せばいいのです。英語を話すことが国際化だと勘違いしてしまっているのです。それは,単なる英米化であって,英語帝国主義の片棒を担いでいるだけにすぎません。日本がいろいろな側面で世界的に評価されているにもかかわらず,国際的になれないのは,英語に負い目を感じているからにすぎません。国際化にとって必要なことは,日本語を国際的に通用する言語としていくことや,日本のことを世界に伝えること(そのために今は英語が必要になるだけ)でしょう。当然ですが,日本国内では,外国人に対しては,日本語でしゃべるべきでしょう。
     今日,英語教育が重視され,英語を使って授業をするとか,TOEICで点数をとらせることに目標がおかれていたりします。こういうことが本当に意味あることなのか考えさせられる一冊です。

  • 永山彦三郎 2001 サーフィン型学校が子どもを救う!−「やり直し可能」な教育システムへ− 平凡社新書 660円
     教育の問題は多くの人が論じています。でも,多くは,評論家的な「きれいごと」教育論で終わってしまっています。筆者は小学校の先生です。現場の人が述べているところに説得力があります。「サーフィン型」という提案は奇抜な感じはしますが,教育のあり方のメタファーとしては,とても面白いと思います。昔の教育がよかったという懐古的な教育論ではなく,未来に向けた教育論を展開しようという姿勢がみえてきます。ただ,実際に行うには,実施に伴う技術的な問題も含めて,いろいろな問題があることは事実でしょう。でも,読んでみる価値はある本だと思います。

  • 大野晋・上野健爾 2001 学力があぶない 岩波新書 740円
     学習指導要領が改訂されたり、教員免許をとるのに必要な大学の教職課程のカリキュラムも新しくなったりしています。いずれも教科に対する時間が削減されています。本来基礎的な学力をつけるために必要な教科の時間数が削減され、その内容も簡単になってしまっています。むずかしくてついていけないからやらせない。そんな無茶な論理です。個性や興味を伸ばす教育が叫ばれていますが、それが「いやなものはやらなくていい」になってしまっています。それに代わって総合学習だとか表面的に聞こえのいいものが台頭しています。
     日本の学校教育は、お上からの押し付けですべてが作られてしまっています。そして、新しい取り組みに対して何らサポートをしてくれません。設備も、スタッフも、資金も時間も何も与えてもらえず、今年からこうなったから、やりなさいという方式です。表面的に格好いいことばかり言っているだけで、実際にそれができるのか、それを実施したらどんなことが起こるのか何も考えていないのです。

  • 小浜逸郎 1997 子どもは親が教育しろ! 草思社 1,575円
     子どもの教育の問題は,いつも学校に押し付けられてしまっています。いじめなどの問題が生じると,学校の責任が問われます。とくに,マスコミは,学校バッシングに走ってしまいます。子どもの教育の大半は親に責任があるはずなのに,どうして何でしょう。親の中には,学校に子どもを預ければすべて教育を学校がやってくれると勘違いしている人もいます。子どもの教育の責任は親にあるということの社会的認識があまりにも低いのでしょう。
     この本は,まさにタイトル通りです。ここまで言ってくれたら,すっきりします。
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